【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「今までの女関係、ちゃんとケジメつけてなかったのは悪かった。直美をはじめ、未だに曖昧な感じになってる奴らには、あとで一人ひとり連絡して美織のこともちゃんと話すから……それで許してもらえないか?」
尊さんらしからぬ濡れた子犬のような瞳で頼みこまれて、きゅう、と胸を鷲掴みにされてしまった私は、呆気なく頷いた。
尊さんはホッとしたように微笑むと、私の体の上をゆっくり退いて言った。
「俺のせいで気分萎えたろ。……今夜はまだ添い寝にしておくか」
きっと、私を思い遣ってのことだろう。
正直なところ萎えたなんてことはなかったし、嫉妬心をなだめるためにも彼に抱かれたいという欲求が高まっていたものの、それを言葉にする勇気はなかった。
「そう、ですね……では、また次の機会に」
「ああ。おやすみ、美織」
隣同士に横たわった尊さんは、間もなく寝息を立て始めた。
しかし私はというと、まだわずかにくすぶり続ける嫉妬心と、おあずけにされた甘いひと時を恋しがってしまう体の熱を持て余し、なかなか寝付くことができないのだった。