【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

支店長なら、あの時彼の恐ろしい一面を一番近くで目の当たりにしていたはずだ。あれはいったいなんだったの?

「あー、ええと……あれはね沖田さん、僕が失礼な態度を取ってしまったから、お叱りを受けていただけなんだよ」

明らかに目を泳がせて説明した後、にっこり笑った支店長。しらじらしいにも程がある。

「……そうは見えませんでしたけど。リスクがどうのと言っていましたし」

「聞いていたのか……。っていうか、そこまで彼のことが気になるならこんなところで話していないで一緒に飲もうよ、お酒を飲むためにここに来たんだろ?」

「いえ、私は……!」

「おーい勝又さん、我らが青山支店のマドンナ、沖田が一緒に飲みたいそうですよ~」

支店長ってば、なんという余計なことを……!

愕然とする私に構わず、支店長はぐいぐい私の手を引いてカウンターに向かい、無理やり勝又さんの隣に座らせる。そして左から、凛子、勝又さん、私、支店長というなんとも不思議な四人の並びが完成した。

あまりの居たたまれなさに俯き、挨拶もしようとしない私に、勝又さんの向こう側から凛子の声が飛んでくる。

「美織、こちらが前に話した勝又さん。美織の銀行の支店長さんとお知り合いなんだって。なんか縁を感じちゃうよね~」

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