【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
どうやら私が来る前に、すでに三人で話し込んでいたらしい。私はできるだけ勝又さんを視界に入れないように真正面を向いて「う、うん」と曖昧な返事をした。
そんな私に、勝又さんはさりげなく顔を近づけ、煙草の煙を吐き出しながら耳元でぼそりと囁いた。
「そんな警戒するなよ……傷つくんだけど」
……嘘だ。絶対嘘だ。そんなことで傷つくような人には全く見えない。
「そ……そう言われましても……」
「今日は婚約者サマは? 遊んでくれないの?」
ひそひそと、両脇のふたりには聞こえないように語り掛けてくる勝又さんに、私も小声で言い返す。
「彼は仕事です……! 忙しい人なので」
「ふうん。あっ、そうか。スカイイーストのCEOだもんね」
「えっ? なぜ勝又さんがそれを……」
つい顔を上げると、勝又さんが顎をくい、と動かして支店長のことを指し示した。
また、あなたですか……!
「支店長ってほんっとうに口が軽い……!」
「えっ? ごめん沖田さん、僕なにかした?」
「なんでもありません!」
ぷりぷり怒る私に、支店長が慌てる。そのやり取りを見て勝又さんはクスクス笑い、凛子はその笑顔にぽうっと見惚れている。も~なんなのこの構図は!