【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「ほら、怒ってないでなにか飲んだら? 沖田さんは酒ではなにが好みなの?」
勝又さんが、カウンター内に並ぶ洋酒の瓶を見ながら私に問いかける。
「いえ、私は……お酒に弱いのでノンアルコールでいいです」
尊さんにも、飲みすぎには注意しろと釘を刺されているし。
「そっか。……じゃあ俺が適当にオーダーしていい?」
「はい。こういったバーのマナーはよくわからないのでお願いします」
「了解」
勝又さんはバーテンダーの男性を呼び、耳慣れないカタカナ名のドリンクをオーダーした。
それから隣の凛子と二、三言葉を交わし、私の元に黄白色のドリンクが届いたところでまた彼もこちらを向く。
「ヴァージン・ピニャコラーダだよ。ピニャコラーダのノンアル版」
「ぴ、ぴにゃ……?」
「パインとココナッツミルクの南国風カクテルって思えばいい」
「なるほど、美味しそうです」
グラスのふちには皮付きのカットパインと、鮮やかなピンク色のデンファレが飾られ、いかにもトロピカルな雰囲気が見た目にも楽しい。
こく、とひと口飲んでみると、ココナッツミルクの濃厚な風味とパインの爽やかさがちょうどいい塩梅に交じり合った味で、とても美味しかった。