【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

「こんなガキみたいに余裕をなくした俺も、本当の俺だ。隠していたって、どうせ結婚生活の中で絶対にまた顔を出す。お前がひと晩ほかの男の家にいて、そうだったのかと優しく受け入れてやれる度量なんてない、身勝手な男なんだ。幻滅したなら、出て行ってくれても構わない。でも、そうでないなら――」

彼のくっきりとしたアーモンドアイが、熱情をはらんで潤みだす。彼はその目で私を見つめたまま、握っていた私の手を自分の左胸に導き、ぎゅっと押しつけて言った。

「ここで暴れて俺を苦しめている嫉妬心を、どうにかしてくれないか? ……それができるのは美織、お前だけなんだ」

手のひらに伝わるのは、尊さんの鼓動。体温。そして私への揺るぎない愛情……。

彼がこんなに苦しんでいるのは、心から私を想ってくれている証拠。

私というひとりの人間にここまで心を傾けられるあなたを、身勝手だなんて決して思わない。私にできることなら、なんでもしてあげたい。だから、どうか――。

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