【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

「ン……、ふっ……」

一瞬唇が離された隙に酸素を取り込もうとするけれど、すぐに次のキスがやってきて呼吸を奪う。

互いの唾液が交じり合って、淫らな音が弾けては消える。酸欠気味の頭はだんだんぼうっとしてきて、理性をなくしていった。

そのうち尊さんの唇が首筋まで下りてきて、同時に彼の手がワンピースの裾から忍び込む。

彼の火照った手のひらの熱にびくりと反応しながらも、私は焦って声を上げた。

「あ、の……まさか、ここで?」

すべてを捧げる覚悟はしていても、この部屋で事に及ぶとしたら想定外だ。

そういうことは、ベッドの上でするものではないの?

私が今まで見た小説やドラマや映画の中では、男女の濃厚なシーンはベッドの上と相場が決まっているのだけど……。

「……お嬢様には刺激が強い、か。どうする? ホテルに移動する?」

彼の口から出たお嬢様という言葉には、見下すような響きが含まれているような気がした。

それがなんだか悔しくて、私は首を横に振ってきっぱり言った。

「ここでいいです」

尊さんにはきっと強がりだとばれていただろう。しかし彼は私の意思を尊重するように小さくうなずき、いったん止めていた愛撫を再開した。

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