【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
花嫁遊戯

――side 尊


何度目かの行為の後、美織は気を失うように眠ってしまった。ベッドに運んでやろうとその体を抱き上げると、彼女の目の端には涙の跡があるのに気がついて、決して生理的に浮かんだものではないだろうと思うと、胸が軋んだ。

……まさか、自分がこれほど嫉妬深い男だったとは。

美織は決して浮気をしたわけではないし、そんなことするような女ではないと頭ではわかっているのに、ひと晩ほかの男の家にいたという事実を知っただけで、気が狂いそうになってしまった。

しかし、美織は一切俺を拒む素振りを見せず、どうにか俺の気持ちをなだめようとしてくれていて。

彼女の方がかなり年下であるにもかかわらず、母性の滲んだおおらかな優しさに包まれたような気分になって……またひとつ彼女の魅力に気づかされるのと同時に、俺は彼女の優しさに甘えて、嫉妬心も欲情も、全てをぶちまけた。

おかげで理性も冷静さも今では戻ってきたが……彼女を愛しく思う気持ちだけは、狂おしいほどに募る一方で、歯止めが利かない。

傷つけて泣かせた責任はちゃんと取るから、どうかお前を愛する権利だけは、取り上げないで欲しい――。

俺の腕に体重を預けてすやすや眠る彼女に、俺は胸の内でそう語り掛けた。

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