【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
寝室に移動した俺は、彼女の体をそっとベッドに下ろして布団をかけてやると、身をかがめて触れるだけのキスを落とした。彼女は安らかな寝息を立てたまま、眠り姫のような美しさをたたえている。
ああ……婚約者なんかじゃなく、早く正式な妻にしたい。
こうして一緒に住んでいてもそんなことを思ってしまう自分の独占欲に呆れるが、美織だけは本当に特別なのだ。こんなに俺の胸を焦がす相手は、お前以外にいないよ。
「おやすみ」
美織の寝顔にそう告げて、俺はシャワーを浴びるべく寝室をあとにした。
この連休中には、式場のホテルでの打ち合わせが二回ほどある。そのうち一回は衣装に関する打ち合わせで、俺は密かに楽しみにしていた。
自分の衣装などどうでもいいが、美織には白無垢も色打掛も、純白のウエディングドレスもカラードレスも全部着せたいと思っていて、期待は膨らむばかりだ。
俺はそんな能天気なことばかり考えていて、その日の美織がどんな思いを抱えて俺と向き合っていたのか、そして彼女が怯えていたものはなんだったのかなんて考えもしなかった。
俺と美織は両思いで、幸せな結婚に向かって着実に一歩一歩進んでいる。そう単純に信じて疑わず、充実した気持ちで満たされていた。