【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
五月の大型連休も半分ほど過ぎた頃、俺と美織は式場のホテルを訪れた。楽しみにしていた結婚式の衣装打ち合わせのためだ。
洋装も和装も、担当者が用意した大量のカタログから気に入ったものを選び、体のサイズを細かに計測してもらって、オーダーする。
完成は数か月後になるが、今日はどんなものが自分たちに似合うのかイメージしやすいよう、式場に用意された貸衣装を試着してみることに。
「あ、いいですね。このブラックが一番お似合いです。尊さんはただでさえ人目を引く容姿をしてらっしゃるので、シンプルなタキシードの方が、あなたの魅力を引き立てるような気がします」
たくさんの衣装と鏡、試着室が備え付けられている広い一室に案内された後、まずは俺が着せ替え人形となっていた。数種類のタキシードを試着したが、美織は今着ている黒いタキシードが気に入ったようだ。
「美織がそう言うならそうしよう。よし、俺のは決まった」
「一着じゃダメですよ。お色直しでは尊さんも衣装を変えるんですから」
「……主役は花嫁だろ? 俺の服が変わってたってどうせ誰も見ていない」
「そういうわけには……!」