【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
俺はキョロキョロ辺りを見渡し、少し離れた壁際でこちらを微笑ましそうに見ているスタッフたちを見つけると、美織をその場に残して彼女らの元へ向かい、こう告げた。
「……少しふたりきりにしてくれ。呼ぶまで戻ってこなくていい」
その言葉に、スタッフたちは俺の思惑をそれとなく察したらしく、頬を赤らめて顔を見合わせ、逃げるように部屋を出て行った。
その姿を不思議そうに見ていた美織が、首を傾げながら俺を見る。
「尊さん、なんて言ったんですか?」
俺はふっと笑って彼女の元に戻り、耳元に唇を寄せて囁いた。
「……婚約者のドレス姿に興奮して手が出そうだから、少しの間出て行ってくれって」
「えっ……? じょ、冗談……ですよね?」
危険を察知して、わずかに後ろに下がった美織の腕をがしっと掴み、俺は至近距離で彼女の瞳を覗きながら「大真面目」と答えた。
美織の頬がみるみる赤く染まり、困ったように眉が八の字になる。
……その顔、可愛すぎて逆効果だよ。
胸の内で呟くと、俺はドレスから丸出しになっている肩の滑らかな素肌を優しくつかんで、彼女の唇を奪った。最初こそ戸惑っていた美織も、やがて俺のシャツの胸元につかまって、キスに応え始めてくれる。