【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「勝又さん……でしたね。あなたもパーティーにいらしていたとは。その節は私の婚約者がご迷惑をおかけしました」
そう言った俺に、彼は眼鏡の奥の瞳をひゅっと細めて不気味に微笑んだ。
「いえいえ、いいんです。今日はそれより、あなたに見ていただきたいものがあるんですが……少しお時間いいですか?」
意味ありげにそう言って会場の扉を見つめる勝又。俺は不審に思いながらも、一度は美織と関わったことのあるこの男の言葉を無視することはできず、彼の後に続いて会場を出た。
明るいエントランスを通りすぎ、スタッフが使うのであろう奥まった薄暗い通路まで来たところで、勝又は足を止め、俺の方を振り向く。
その手にはスマホが握られていて、彼はしきりに画面をスライドさせてなにかを探しているようだった。
「それで、見せたいものというのは……?」
しびれを切らしたように尋ねると、勝又はニッと口角を上げてスマホを操作していた指の動きを止める。そして「あった」と楽しげに呟いたかと思うと、俺の前にスッとスマホを差し出した。