【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
なんということだろう。今まで親の敷いたレールを踏み外すことなんてなかった、箱入りで優等生で、男女交際なんてひとつもしてこなかったこの私が。
今日初めてあった男性と、こんなふうに体を繋げてしまうなんて。
しかも、痛みを堪えて涙するわけでもなく、与えられる快感のままに喘いで。こんなふしだらな所業を両親に知られたら、勘当されるかもしれない。
しかし、私は背徳感に胸を痛めるどころか、むしろどんどん大胆になった。
「尊さん、もっと」
もがくような声音でおねだりし、汗ばんだ彼の背中に爪を立てる。
「美織……ホント、お前は仕方のないお嬢様だな」
尊さんは皮肉げに言いつつも、私の望みに応えるように腰の動きを速め、呼吸を荒げた。
私はまもなく最後の大きな快感にたどりつき、頭が真っ白になってしまう前にと彼の耳元に囁いた。
「ありがとう、尊さん。もう、思い残すことはありません……」
最初で最後の相手が、あなたのような遊び慣れた男性でよかった。こんなに不道徳で甘美な夜は、残りの人生で二度と味わうことはないだろう。
あなたのおかげで、女としての幸せをじゅうぶん感じることができました。
もう、会うことはないけれど……本当に感謝しています……。
胸の内でそう呟きながら、私は意識を手放した。