【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

「……怖いの、尊さんの反応が。彼ならわかってくれるって思いたいのに、嫌われるんじゃないかって、軽蔑されるんじゃないかって、悪い想像ばかりしてしまう」

悲痛な声で語った私に、祖母はやれやれというように苦笑した。

「美織……。あんた、本気で鞍馬さんを愛し始めているんだね」

「え……?」

「その人を失うのが、なにより怖い。そんな感情は、ままごとの恋愛じゃ生まれないよ。……でも、だったらなおさら、彼に本当のことを告げる勇気を持たなきゃ。夫婦生活っていうのはね、着飾ってお化粧をして、一番きれいな自分を見てもらう恋人同士のデートとは違うの。お互いに、みっともない姿までも丸ごと受け止められるようじゃなきゃダメ」

「丸ごと、受け止める……」

祖母の言葉は、弱り切った私の心にゆっくりと落ちていき、優しく沁みわたる。

尊さんに、みっともない姿を見せる……なんて、そう簡単にできそうなことではない。

でも、逆の立場ならどう? もしも尊さんが、私に情けない部分を見せたとして……私は彼を嫌いになるの?

自分自身に問いかけたその時、ハッと目が覚めたような思いがした。

私なら……どんな尊さんだって、嫌いになんかならない。弱い部分を晒してくれた彼を、むしろ愛しく思うだろう。

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