【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
尊さんも同じ気持ちだとは限らないけれど、まずは私が本当のことを話さなければ始まらない。それに、いつまでもこんな苦しみを抱えたままでは、いつか爆発してしまう。
もう、大切な人に嘘はつきたくない……。
「お祖母ちゃん、ありがとう。私……勇気、出してみる」
「……よく決心したね美織。お祖母ちゃんも、応援しているよ」
穏やかな笑みで背中を押してくれる祖母に、私もようやく笑顔を返す。
「うん。……もう行くね、尊さんのところに戻る前に寄りたい場所があるから」
「寄りたい場所……?」
怪訝そうにする祖母に、なにも言わずに背を向ける。そうして襖から出て行く前に、ぽつりと呟いた。
「……大丈夫。もう、覚悟はできてるから」
これから乗り込もうとしているのは、とても恐ろしい場所。でも、私は行かなくちゃならない。そして、尊さんが好きだと言ってくれた、正直な自分に戻るの。
もし、尊さんとの仲が壊れることになっても……嘘をつき続けて彼のそばにいるよりはずっといい。これ以上、自分を嫌いになりたくない――。