【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

「私が行けば凛子は解放してもらえるんですね?」

「ああ。さすが沖田さん、物分かりがいいね。ピーピーうるさい凛子ちゃんとは大違いだ。……彼女が惚れてる黒田とかいう男、事業がうまくいってなくて借金まみれでさ。うちの組の下部組織である闇金からも金借りてるんだ。その借金をチャラにしてやる交換条件として、きみをバーに呼び出してもらったり、今日も自宅の場所を教えてもらったりしたんだけど……毎度のように〝美織を裏切るようなことはできない〟ってごねて泣いて、うるさいのなんのって」

やれやれと呆れた口調で語る勝又さんに、ふつふつと怒りがこみ上げる。

この人、やっぱり凛子のことも弱みを握って脅していたのね……。外道。人でなし。

胸の内に思わず、汚い罵り言葉があふれる。

「でも、沖田さんはなんていうのかな……そうやって睨まれると、ドキッとするよ。裏社会で生きてきたことを今まで恥じたことなんかなかったのに、きみの綺麗な瞳に見つめられると、自分がすごく汚らわしい人間な気がして……腹が立つ反面、妙に惹かれる」

眼鏡の奥で切れ長の瞳を細めた彼が、細長い指でくい、と私の顎を掴む。嫌悪感からとっさにぷいと顔をそらすと、勝又さんはくくっと喉を鳴らして笑った。

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