【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「やっぱり、欲しいな。きみのこと」
「え……?」
意味深な言葉にぞくりと寒気が走ったけれど、彼はそれ以上多くは語らず、車は目的地――勝又組の事務所へと到着した。
外観はごく一般的な三階建てのビル。しかし、中に入るなり木刀を持った強面の男性が「お帰りなさいませ、若」とガサガサした声で言って彼を出迎えたので、私はついびくっとしてしまった。
しかし勝又さんはそっけなく「ただいま」と言い、私を三階の仕事部屋へ連れて行った。
案内されたその部屋は、奥の出窓の前に大きなデスク。中心には応接セット。部屋を囲むようにして置かれた背の高い棚があり、一般企業で言うなら社長室のような、高級感のある部屋だった。
ただし、じゅうたんが虎のはく製だったり、出窓にはレプリカか本物かはわからないけれど日本刀が飾られていたり、力強い毛筆で書かれた〝勝〟という字が額に入れて飾られていたりと、少々独特な趣味のインテリアも見られたけれど。
「そこ座って待ってて、凛子ちゃん呼んでくる」
勝又さんがそう言って一旦部屋を出て行くとき、出入り口の前には五人ほどの組員が立っているのに気づき、私は思わずぎょっとした。