【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「……でも、気持ちのない相手となんて、うまくいくはずがない。夫婦仲は最初から冷え切っていて、すぐに離婚になった。そんな時だよ。虎之助さんの子を妊娠しているとわかったのは」
祖母は誰にもその事実を告げずにひとりで妊娠、出産を乗り越えたが、生まれた子どもが息子だとどこからか聞きつけた沖田の家に呼び戻され、そこからは恵まれた環境の中で育児をすることができた。
父親が誰であるのかは頑なに教えず、立派な沖田家の跡取りとなるようにと――。
「では、もしかして沖田頭取は……」
尊さんが父の顔を見つめて遠慮がちに尋ねると、父は苦笑して頷いた。
「ああ。正真正銘、勝又虎之助の息子だ。今となっては、それを知る者は私たち家族と、父以外にいないがね」
その言葉を聞いて、先ほど父が〝血〟という言葉を使ったことに納得する。
父が勝又の血を引いているのなら、当然私にもその血が流れている。……もしかして、私を厳しくしつけたのも、ただ単に理想の娘に近づけようとしたわけはなく……。