【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
彼は天井を睨みながらうーんと唸り、それから呑気な調子で言った。
「美織が意外と肝が据わってるのとか、職場で苛められても平気でいるのとか、やくざの事務所に単身乗り込んでしまうところとか……そういうのは血のせいだったのかって、腑に落ちた感じだよ」
がくっと肩の力が抜けた。私はそんな平和な感想を聞いたわけではないのですが……。
「いえ、そういうことではなくて……尊さんは、子どもは欲しいですか?」
「そりゃまぁ、いつかは……ああ、なんだ。〝血〟って、そういうことか」
ようやく私の言わんとする内容がわかったらしい尊さんは、「よっ」と声を出しながら上半身を起こし、ベッドに横たわる私の髪を優しく撫でた。
「……俺たちの子どもにも勝又の血が流れてしまうって?」
「私は、血なんて関係ないと思っています。父だって、努力して立派な人になりましたし……でも、もしも尊さんが気にするんだったら、結婚のこと、考え直さなければって……」
頼りない声で不安を吐露すると、それまで穏やかに髪を梳いていた彼の手がいったん離れ、それから軽いげんこつが落ちてきた。