【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「いたっ」
「……馬鹿。お前は俺のなにを見てきたんだよ。〝血〟なんてくだらないもんのために、命を懸けて守りたいと思うほど愛しい相手を手放すわけないだろ?」
「尊さん……」
頼もしい言葉がうれしくて、叩かれた場所を両手で押さえながら、つい涙目になる。
そんな私を愛し気に見つめて微笑んだ彼は、言い聞かせるようにこう続けた。
「俺は美織のことなら、たとえ悪魔の血を引いていたって、愛する自信がある。……だからもう余計なことを心配するのは止めて、少しでも寝ろ。もうあと数時間後には仕事だろ?」
穏やかな甘い声に諭されて、私は自信を取り戻す。
尊さんはこんなに一心に私を愛してくれているのに、私ときたらいつも勝手に不安になってひとりで落ち込んでしまう。このクセ、そろそろ直さないと。
「はい……尊さんもですよね?」
「ああ。でも、さすがに疲れているから、事情を説明して遅めに出勤させてもらう。美織もそうしてもらえばどうだ? 頭取に頼めば簡単だろう」