【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

「いたっ」

「……馬鹿。お前は俺のなにを見てきたんだよ。〝血〟なんてくだらないもんのために、命を懸けて守りたいと思うほど愛しい相手を手放すわけないだろ?」

「尊さん……」

頼もしい言葉がうれしくて、叩かれた場所を両手で押さえながら、つい涙目になる。

そんな私を愛し気に見つめて微笑んだ彼は、言い聞かせるようにこう続けた。

「俺は美織のことなら、たとえ悪魔の血を引いていたって、愛する自信がある。……だからもう余計なことを心配するのは止めて、少しでも寝ろ。もうあと数時間後には仕事だろ?」

穏やかな甘い声に諭されて、私は自信を取り戻す。

尊さんはこんなに一心に私を愛してくれているのに、私ときたらいつも勝手に不安になってひとりで落ち込んでしまう。このクセ、そろそろ直さないと。

「はい……尊さんもですよね?」

「ああ。でも、さすがに疲れているから、事情を説明して遅めに出勤させてもらう。美織もそうしてもらえばどうだ? 頭取に頼めば簡単だろう」

< 209 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop