【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

そんな思いで奮闘すること数カ月。当初の予定通り、十月の大安吉日にとうとうその日を迎えた。

私たちはまず区役所に婚姻届けを提出し、正式な夫婦となった。

直後に式が控えていたため感慨に浸る暇はなかったが、今日から鞍馬美織になったのだと思うと、なんだか不思議で足元がふわふわした。

そして、同じ日の午後。どこまでも晴れ渡った秋空の下、私と尊さんの結婚式が執り行われた。

ホテル内にある専用の神社はとても広く風雅な空間で、平安時代に迷い込んだような錯覚を覚える。

私たち夫婦と参列者は、雅楽の荘厳な演奏が流れる中、神職と巫女に導かれてゆっくりと神社の中へ歩みを進める。子どもの頃、おとぎ話の絵本で見たような花嫁行列そのままだ。

背筋をしゃんとしなきゃ、と思わされるその独特の雰囲気にすっかり緊張していたら、隣で紋付き袴をびしっと着こなす尊さんにひそひそ耳打ちされた。

「……三々九度で酔うなよ」

「よ、酔いませんよ……!」

つい強めに言い返したら、先頭を歩く神職の男性に咳ばらいをされてしまった。

いけない、今日は控えめに、おしとやかに……。

気を取り直して本殿に入場した後、参列者たちがみな席に着くのを待つ。

< 212 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop