【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
それからお祓いをしてもらい、神職が神様に私たちの結婚を報告する。
問題の三々九度もそつなく終えて指輪の交換も済ませると、とうとう私たちが誓いを述べる『誓詞奏上』の時がきた。
夫婦になるふたりが声をそろえ、神様と、そして集まってくれたみんなへと結婚の誓いをたてる、大切な儀式だ。
尊さんの手の中にある誓詞の書かれた紙を見ながら、神聖な気持ちを高めていたその時だった。
「――俺は」
述べるはずの言葉とは全く違う文面の言葉を、尊さんがひとり話し出した。
「女性と夫婦になることなど、遊びの一種だと思っていました」
「た、尊さん……?」
厳かな式に似つかわしくない彼の言葉に、周囲が一瞬ざわめいた。突然のことで私も意表をつかれ、彼を見つめて固まる。
だって昨夜、『誓詞奏上で噛んだらなんだか縁起が悪いですよね』なんて話しながら、何度もふたりで声をそろえる練習していたのに。
尊さんは明らかに予定とは違うことをしているのだが、神職さんは彼を咎めたりせず、静かに彼の話を耳を傾けているようだった。
尊さんは周囲がある程度静まったところで、再び続ける。