【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「尊さん……はい。もちろんです。でも」
私は本殿前方の、神様がまつられているのであろう神棚の方をちらりと見て尊さんに耳打ちする。
「あの、神様にも、ちゃんとご報告しないと……」
神職さんは許してくれたけれど、私の両親をはじめ、しきたりを重んじる参列者も少なくはないだろう。最後だけでも、それなりにちゃんとした言葉で締めた方がよいのでは?と、私は心配したのだけれど。
「ああ、そうだな」
尊さんはなんてことなしに頷いて、正面に向き直る。そしてあろうことか「おい、神様!」とぶっきらぼうに呼びかけた。
ちょ、ちょっと尊さん……神様に「おい」はないでしょう……!
案の定、参列者たちは再び騒がしくなり、クスクス笑い声すら聞こえる。
私たち、罰が当たりませんか……? なんて内心冷や汗をかく私に構わず、尊さんは堂々とした態度で神に語り掛ける。
「この通り、俺たちは夫婦の誓いを立てました。結婚という、人と人との尊い結びつきを〝夫婦遊戯だ〟なんて思っていたことは重々反省していますから、どうか俺たちが温かい家庭を築いていくのを、今後も見守っていてください」