【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
かろうじて敬語を使い、最後には深々頭を下げた彼にホッとしつつ、私もならうようにお辞儀をして神様にお願いする。
「幾久しく、お守りください……!」
めちゃくちゃな誓詞奏上になっていしまったけれど、私たちが顔を上げた時には、周囲から温かい拍手が送られた。
ちらっと両親の様子を窺ったら、ふたりとも目を真っ赤にして涙を流していたので、ついもらい泣きして目が潤んでしまい慌てて目をそらす。
勝又組の事件のおかげで、父と母、それに祖母が、私をどんな思いで育てていたのかを知ったから余計に……こうして彼らの元を巣立つのが寂しい。
「……ほら」
気づけば尊さんがハンカチを差し出してくれていて、メイクが崩れないようそっと目元を押さえる。けれど、一度感情があふれるとなかなかコントロールできなくて、涙が止まらなかった。
今日という大切な晴れの日を、こうして尊さんと一緒に迎えられたことを、これまで出会ったすべての人に感謝したい。
そんな、途方もなく大きな感動に包まれながら過ごした結婚式は、二度と忘れることのできない、大切な思い出となった。