【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
それでも今夜は二人の結婚記念日という特別な夜だから、恥ずかしがらずに正直な気持ちを彼に伝えたい。式では尊さんも、あんなに包み隠さず愛情表現してくれたのだから。
「私……たぶん、初めての夜からあなたに惹かれていました」
「初めてって、サンクチュアリの〝夜遊び〟の時か?」
「はい。……あの時の相手が尊さんじゃなかったらって思うと、今でもぞっとします。私に触れていいのは、あなただけです」
今度は私から彼の左手を取り、ごつごつした男らしい指に嵌められた、お揃いの指輪に唇を寄せる。
こうして目に見える夫婦の証はやっぱりうれしいな。そう思って、ふふっと笑みをこぼしたその時。
「美織……誘ってる?」
尊さんが瞳を少々妖しくぎらつかせながら、私に問いかける。
誘ってなんかないません!……と、いつもの私なら、慌てて否定するところだけれど。
今夜は恥ずかしがらないって決めたんだもの……素直に伝えるの。
「はい……誘っています」
そう言ってジッと彼を見つめたら、尊さんはおかしそうに肩を揺らして笑った。