【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「なにがおかしいんですか」
「いや、だって……誘ってるって言いつつそんな戦いを挑むような目で見てくるから」
せ、せっかく勇気を振り絞ったのに、そんな言い方ひどい……。
いやでも、色気を演出できなかった私が悪いのか……。今夜は新婚初夜だと意識しすぎていたのが逆効果になってしまったのかな。
私は彼に背を向け、しょぼんとして体を丸めた。すると背後で衣擦れの音がして、尊さんの腕がふわりと私を抱き寄せた。
「嘘だよ、拗ねるなって。……嬉しいし、すごい興奮してる。美織から誘ってくるなんて初めてだからな」
色っぽく掠れた声が耳元でささやき、心臓が飛び出しそうなほど跳ね上がった。バスローブ越しの体温が、互いに上がっていくのを感じる。……ああ、今夜は本当に、私。
私は彼の腕の中で体を反転させ、尊さんの首に腕を絡めると、彼の耳元にこっそり呟く。
「あなたが欲しいです……大好きな旦那様」
途端に目の前の彼の耳が赤く染まり、珍しく困り顔になった彼はため息交じりにこぼす。
「そんな殺し文句どこで覚えたんだよ……」
「どこでって……思っていることを正直に口に出しただけで」
「ああもう……美織は喋らなくていい。代わりにとびきり甘い声で鳴かしてやるからな」