【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

私は確かに今日、政略結婚の相手との顔合わせをする予定だった。でも、相手のことは父が全く教えてくれなくて……。

『私に任せておけばいい』『顔合わせも、美織は座っているだけでいい』
そんなことを冷たく言われるだけだった。

でも、尊さんの話しぶりから察するに、政略結婚の相手はまさか――。

「あ、あなたが結婚相手……!?」

「今頃気づいたのか。……昨夜は楽しかったな?」

わざと含みのある言い方をされ、私の頭はパニックに陥ってしまう。

ちょっと待って……いったん整理させて。

つまり、尊さんは私の結婚相手になる人で。彼は昨夜それを知りながらも、黙って私の決死の大冒険に付き合っていた……? 私、めちゃくちゃ恥さらしじゃない!

「なんで昨日言ってくれなかったんですか!」

「お前の気持ちを尊重したんじゃないか。可哀想に、ああいう遊びを一度もしたことがなかったんだろ?」

「だからって……!」

尊さんと言い合っていると、向かい側でのんびり眺めていたお祖母ちゃんがしわくちゃの目元をさらに緩めてしみじみと呟く。

「もうすっかり仲良しね。お祖母ちゃんうれしいわ、美織がお嫁さんになるところが見られて」

「お、お祖母ちゃん……」

そんな感動されてしまうと、弱っちゃうんだけど……。

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