【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

「安心してください。美織さんは僕が必ず幸せにしますから」

戸惑う私を置いてけぼりにして、尊さんは祖母を相手に好青年を演じていた。

絶対にキャラじゃないくせに……すっかりお祖母ちゃんを味方につけたみたい。

私は尊さんの王子然とした横顔に胡散臭いものを感じながら、ふたりのやり取りを黙って見つめていた。


その後、尊さんはうちの家族と昼食を共にすることになった。もともと顔合わせのために予定を空けていた両親の提案だ。

自宅の広いダイニングテーブルに母の手料理とケータリングのご馳走が並び、私の家族と尊さんだけでひと足早い顔合わせとなった。

最初は、尊さんに誘われたとはいえこっそり家を抜け出し、挙句泥酔して帰ってきた私への小言で耳が痛かったけれど、尊さんは終始自分を悪者に仕立て上げ、私を庇った。

「美織さんはすぐに帰ると言ったんです。でも僕が、どうしても彼女とまだ一緒にいたかったので……」

キラキラ光る眼差しでそんなことを語る尊さんには、本当に役者だなと呆れるやら関心するやら。

でも、庇ってもらえたのは正直ありがたかった。彼がそうしてくれなければ、父からも母からも次々責められて、心がハチの巣みたいに穴だらけになっていただろう。

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