【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから～クールなCEOと夫婦遊戯～
和やかに会話が進んでいく中で尊さんの素性も明かされ、彼の苗字を聞いた私は耳を疑った。
「鞍馬尊さん……。鞍馬って、あの？」
にわかに信じられなくて尊さんを見つめると、彼は微笑んで頷いた。
彼の姓、〝鞍馬〟はあまりにも有名な、国内最大手の航空会社『スカイイーストホールディングス』を経営する一族のもの。
尊さんのことだからそれがばれたら面白くないと思って、昨夜は苗字を伏せたのだろう。
「その若さでＣＥＯとは、父上も思い切りましたね」
感心したような父の言葉に、私はさらに驚愕した。
尊さんって、スカイイーストのＣＥＯなの!? さっき年齢は三十四歳とか言っていたのに、その若さで会社のトップってこと!?
彼の完璧さには昨夜も感心させられたけど、肩書きを知ったことでまた改めて、非の打ち所のなさに圧倒されてしまう。
「父は安定志向で保守的なんです。しかし、会社の成長のためには、常に革新的な経営戦略が必要だ。だから僕をトップに据えてみたくなったそうです。八年前、スカイイーストが国際線に参入した時も、僕以外はみな反対していました。しかし、結果はついてきた。最初こそ赤字でしたが、僕はもっと先の未来を見据えていましたから、焦ることはありませんでした」
