【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
不安な私の気持ちとは裏腹に、結婚に向けての準備は順調に進んでいった。
猫かぶりの尊さんはすっかりうちの家族に気に入られ、改めて顔合わせが行われた際には、両親の教育の賜物なのか、私自身も尊さんのご家族には好印象のようだった。
しかし「今時珍しい奥ゆかしいお嬢さんだ」と尊さんのお父様が褒めてくれた時に、またしても尊さんが「奥ゆかしいと見せかけて大胆に夜遊びするけどな」と耳元で余計なことを囁いては、私を動揺させた。
冒険のつもりだったあの夜のせいで、尊さんに弱みを握られた形になったのは計算外もいいところだ。
勇気を出して行動しても、私には結局人生を変えることなんて、できやしないんだ――。
そんな投げやりな気持ちで過ごしているうちに迎えた桜の季節。
私と尊さん、そして両家の両親が再び集まり、とうとう結納を交わすことになった。
料亭の一室で、紋付き袴姿の尊さんを見た時、見惚れなかったと言ったらうそになる。
でも、自分が彼の妻になるということに相変わらず自信が持てない。
私たち、いったいどんな夫婦生活を送ることになるの……?