【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

不安な私の気持ちとは裏腹に、結婚に向けての準備は順調に進んでいった。

猫かぶりの尊さんはすっかりうちの家族に気に入られ、改めて顔合わせが行われた際には、両親の教育の賜物なのか、私自身も尊さんのご家族には好印象のようだった。

しかし「今時珍しい奥ゆかしいお嬢さんだ」と尊さんのお父様が褒めてくれた時に、またしても尊さんが「奥ゆかしいと見せかけて大胆に夜遊びするけどな」と耳元で余計なことを囁いては、私を動揺させた。

冒険のつもりだったあの夜のせいで、尊さんに弱みを握られた形になったのは計算外もいいところだ。

勇気を出して行動しても、私には結局人生を変えることなんて、できやしないんだ――。


そんな投げやりな気持ちで過ごしているうちに迎えた桜の季節。

私と尊さん、そして両家の両親が再び集まり、とうとう結納を交わすことになった。

料亭の一室で、紋付き袴姿の尊さんを見た時、見惚れなかったと言ったらうそになる。

でも、自分が彼の妻になるということに相変わらず自信が持てない。

私たち、いったいどんな夫婦生活を送ることになるの……?

< 28 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop