【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
嘆くように訴えると、尊さんは私の両肩をしっかりつかんで言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
「結婚生活が幸せであろうとなかろうと、お前の人生はお前のもので、両親のものじゃないだろ。お前だって本当はそう思ってるから、あの夜俺に抱かれたんだ。自分の意思で、そうしたいって思ったから」
「尊さん……」
まさか彼がここまで親身になってくれるとは予想外で、目を瞬かせる。
でも、彼の言う通り……あの夜の大胆な行動は、紛れもなく自分の意思。
親の言いなりになるのにはとっくに嫌気がさしていたのに、反抗する勇気がいつまでも持てずにいた私の、初めてのワガママだったのだ。
「今までどれだけ抑圧された日々を過ごしてきたのか知らないが、俺と結婚すれば厳しい両親からは解放される。それだけでも素晴らしいじゃないか」
「でも……そんなの、私ばかりの都合であなたを利用するみたい」
尊さんは私を元気づけてくれているのだろうが、そんな子どもの家出みたいな理由で結婚に踏み切るなんて、不謹慎じゃないだろうか。