【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
尊さんのように完全なるお遊びとして楽しむのは難しくても、失敗ばかり恐れて結婚に尻込みするのは一旦止めてみよう。
私は幾分吹っ切れた心持ちで彼を見つめ、口を開いた。
「尊さんと同じ温度で楽しめるかは疑問ですが……それでいいなら、あなたの妻になります」
その言葉を受けて、尊さんは満足げに頷いた。
「もちろんそれでいい。俺が手取り足取り、人生の楽しみ方を教えてやるよ」
目の前に彼の手のひらが差し出され、私はそこに自分の手を重ねた。そして手を握り合った瞬間ぐっと彼の方に引きよせられ、広い胸に抱き留められる。
ああ、私、本当にこの人の元に嫁ぐんだ……。儀礼的に結納を交わしただけでは得られなかった実感が、ようやく胸にじわじわと広がった。
完全に不安がなくなったわけじゃないけれど、尊さんはきっと私を不幸にしたりはしない。確かな根拠はないけれど、そんな気がした。