【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
ら、来週から一緒に暮らすって……急すぎません!?
「ちょ、ちょっと突然すぎて心の準備が……」
「なに言ってるの、顔合わせの前に私たちに黙ってこっそり会ったり、結納の時は食事よりも鞍馬さんとふたりきりになりたいからって庭に逃げたりして……本当は彼と早く暮らしたいんでしょ? お母さんわかってるわよ」
「いや、あれはその……」
違うんだと説明したいけれど、本当のことを暴露してもややこしくなる。どうしたものかと口ごもる私に、母は初めて見せる切なげな微笑みを浮かべて言った。
「美織がお嫁に行くって決まってから、あなたには少し厳しくしすぎたかなって、今になって自分の子育てを反省してるの。でも、美織は一度も反抗することなく私たちの理想通りの娘に育ってくれて……本当に感謝しているわ。だから、最後くらいワガママ聞いてあげたいなって思ってるのよ?」
母は鼻を啜りながら、泣いているのを隠すようにトンカツを揚げる鍋の方へ向き直る。
……なにそれ、お母さん。今になってそんなしんみりしたこと言うのずるくない?