【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「幼い頃に父が買ってくれて、それからずっと宝物なんです。家具はもともとついていたものもありますけど、私の手作りもたくさんあるんですよ」
手近な棚にドールハウスを乗せ、中央のロックを外して左右に開く。小さな家は半分に分かれ、そこからたくさんの部屋が現れた。
その中でも特に私がお気に入りなのはキッチン。木目調のラックに並んだ小さなカップやジャムの瓶、窓辺のチェック柄のカーテン。小さくても凝った作りのインテリアは見ているだけで胸がときめく。
「手作りって……この指先ほどの小物類をか?」
身をかがめてドールハウスを覗いた尊さんが、信じ難そうに眉根を寄せる。
「はい。このソファとクッションのセットなんかは、自分で材料を買ってきて作ったんです。それにテーブルの上の花瓶も」
「考えただけで気が遠くなりそうだが……美織は手先が器用なんだな」
素直に感心されると照れくさくて、私は話を逸らすように尊さんに尋ねた。