【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

目を閉じることも忘れて唖然としているうちに彼の唇は離れていき、そのまま至近距離でこう言った。

「お前も夫の要望にはできる限り応えろよ? 遊びとはいえ俺なりに夫婦というものに向き合うつもりだから、当然浮気はルール違反。他の女と遊ぶわけにはいかない分、妻に満たしてもらうしかないんだからな」

「み、満たすって……」

妖しく光る尊さんの瞳にどきりとして身構える。

いくら彼とは一度夜を共にしたとはいえ、あの時と今では状況が全然違うし、そんな簡単に了承はできない。

もう少しこの生活に慣れて、お互いの色んな所を知り合ってからじゃダメでしょうか……。

困り果てたように眉尻を下げる私に、尊さんはふっと鼻を鳴らしておかしそうに笑う。

「……その不慣れな反応も、今まで関わってきた女たちとは違って悪くない。ま、無理やり襲おうなんて思ってないから安心しろ。妻をその気にさせるのも夫の務めだ」

そう言ってようやく離れていった尊さんに、一気に体から力が抜けた。

強引な尊さんのことだから、こちらの意思を無視して無理やり……なんて展開を予想して、心臓が止まるかと思った。

それにしても、強引なのは口だけで意外と紳士なのかな尊さんって。まぁ、ただ遊び慣れているだけかもしれないけど、どちらにしろ心の準備にはまだ時間がかかりそうだからよかった……。

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