【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「酔った女を連れ帰って拒まれたのは初めてだ。しかも、結婚を約束している相手なのに……」
「それは……少々、今までの方たちの思慮が足りなかったのでは?」
「結構言うな。確かに互いに遊びだと承知した上での行為ではあったが」
微かに笑った彼に、私は切実な胸の内を明かした。
「尊さんは、この結婚生活を遊びだとお思いかもしれませんが、私にはやっぱりそうは思えません。結婚するからには、ちゃんとした夫婦に憧れてしまいます……。例えば、今日のお寿司屋さんの大将と奥様みたいに」
実際にふたりがお店を切り盛りしている姿を見たわけじゃないけれど、話を聞いただけも素敵なご夫婦だと思った。お互いがお互いの支えになって、心の深いところで繋がっている……そんな関係、すごく理想的だなって。
だから、たとえ政略結婚でもあんな風になれたらって、ほんの少し望みを抱いた。自分の趣味を譲って、ドールハウスをリビングに置いてくれた優しさのある尊さんとなら、もしかしたらって。
だけど……私たちにはやっぱり無理な話なのだろうか。尊さんにとっては、この結婚はやはり遊びの一環でしかないのかな……。