【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「だから、黒田の話に乗ろうとした奴は他にもいたが、俺が自ら志願したんだ。美織のことは名前しか知らなかったが、これから妻になる相手にほかの男の手が触れると思うと許せなかった」
「そう、だったんですか……」
私はあの夜、偶然に出会った尊さんに一夜限りの冒険を手伝ってもらったのではなくて。これから夫となる彼の手に、守ってもらっていたんだ……。
初めて知る事実に、胸がトクンと優しい音を奏でる。
それにしても、私にほかの男性が触れるのが許せなかった、なんて……出会う前のこととはいえ、彼の嫉妬じみた台詞がなんだかくすぐったい。
「あの夜の出会いも、今思えば必然だったんじゃないかと思う。だから、胸を張って〝妻を愛している〟と言える日が来るように、これから努力させてくれないか?」
「尊さん……」
遊び人だとばかり思っていた彼がそんなことを考えているなんて、私は彼のことを誤解していたのかもしれない。
今まで、親の意思で引き合わされた相手と愛情のない結婚生活を一生送らなきゃならないってことが、果てしない拷問のように思えていたけれど……尊さんが相手なら、別の未来が待っているように思えてきた。