【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
なぜか戸惑っているらしい彼を見つめて首を傾げていると、その視線に気づいた彼は私から目をそらし、ベッドから下りた。
「美織、酔いがさめたならシャワー浴びてきたらどうだ」
「あ、はいっ。ではお先に……」
クローゼットから着替えを取り出し、寝室を出る前に何気なく彼の方を振り返る。
彼は何をするでもなくベッドの脇に立ったままだったのだけど、私と目が合うとパッと視線をそらしてそっけなく言った。
「早く行ってこい。美織の後で俺も入るから」
「あ、すみません……」
ぺこりと頭を下げ、寝室を出る。そしてお風呂場までの廊下を歩く途中、私は首をひねっていた。
……尊さん、どうして急に態度が冷たくなったんだろう。もしかして、私が急に頬にキスなんてしたから、引いたのかな……?
いくら考えても、彼の心の内は彼にしかわからない。一緒に暮らし始めてまだ一日目だし、そんなにすぐ理解し合えるわけもないか……。
私はしょんぼりした気持ちをなんとか振り払い、バスルームの扉に手をかけた。