【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
遠恋遊戯
シャワーの後で先にベッドに入った私は、引っ越し疲れのせいかすぐに眠ってしまった。
そして翌朝、携帯のアラームで目覚めた時、隣に尊さんの寝ていた気配はあったもののその姿はすでになく、寝室を出たところでちょうど彼と鉢合わせた。
「ああ、おはよう美織」
すでに出かける準備を済ませた彼のスーツ姿には、さすがは鞍馬家の御曹司、と周囲に言わしめるような高貴な風格が漂っていて、一瞬挨拶するのも忘れて見入ってしまった。
手には大きめのスーツケースの取っ手が握られていて、そういえば彼は今日から出張だったと思い出す。
「おはようございます。出張はどちらに行かれるんですか?」
「北欧諸国を視察するんだ。スカイイーストではまだ未就航エリアだが、将来的にはそこまで路線を拡大したいと思っていてな。帰りは木曜になるから、留守の間のことは頼む」
「北欧ですか! 素敵ですね……一度は行ってみたいと思っていたんです」
美しい自然はあるし、人々は優しいと聞くし、北欧のインテリアや雑貨はどれも可愛らしい。
「なら、今回は無理だがいつか連れて行ってやるよ。そうだ、土産はなにがいい?」
「えっ。いいです、尊さんはお仕事なのに」