【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
顔を上げ、笑顔で彼にお礼を伝えた。尊さんも微笑んで頷き、それから私の額に唇を寄せて前髪の上から軽めのキスをした。
ぽわん、と顔が熱くなり、胸がドキドキ高鳴った。
「じゃあ行ってくる。俺が恋しくなったら電話しろよ。必ず出るか、掛け直すかするから」
命令口調ながらそんな甘いことを囁き、尊さんは玄関へ向かっていく。
「は……はい。行ってらっしゃい」
たった三~四日の不在で、別に恋しくなんて……なりませんよ。
胸の内でそう呟きつつも、尊さんの一挙一動に翻弄されている自分も感じていた。
キスをされたおでこにそっと触れると、その場所に押し当てられた柔らかな感触が蘇って、恥ずかしさも同時に舞い戻る。
これから夫婦になるんだから、こういうのにも慣れていかなきゃダメなんだよね。今のところ、全然慣れる気がしないけど……。
私はしばらくキスの余韻でぼんやりしていたけれど、やがて自分も仕事だと気づき慌てて身支度を始めるのだった。