【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
みそら銀行青山支店。そこが私の職場である。
親からの勧めがなかったとはいわないが、きちんと実力で試験を受け、正式に採用されたから勤めている。にもかかわらず、周囲からは完全にコネ入社だと思われているらしい。
それが悔しくて、窓口業務にしろデータ入力にしろ、一般社員以上に頑張っているつもりだ。
しかし、最近ひしひしと感じているのは……頑張れば頑張るほど、職場での風当たりは強くなるということだった。
以前は数人ずつ交代で取っていた昼休憩が、私の番だけひとりになったのはいつからだったろう。
新規の口座開設を依頼されれば、先輩がそのお客様を横取りするなんてのも、もはや日常茶飯事。女子社員たちが固まって、あれこれ私の陰口を言っているのも知っている。
それでも仕事は仕事だと割り切って、毎日平気な顔をしているはずなのだけれど。
「沖田さん。きみ、支店内でいじめられてるよね?」
「えっ……」
その日支店長室に呼ばれた私は、四月から異動してきた新しい支店長の蒔田さんに尋問されていた。
蒔田支店長は四十代半ばの物腰柔らかい雰囲気の男性で、支店長になってまだ日は浅いとはいえ、そんなことを突っ込んでくるようには見えなかったので驚いた。