【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「初めまして、美織さん。きみのことは黒田から聞いてるよ。今夜は思い切り夜遊びするつもりだって」
彼は王子に相応しい、透明感のある甘い低音で話した。
「え……。あっ、凛子でしょ、言ったの……!」
凛子を咎めようとしたが、彼女は蜜に誘われる蝶のごとく黒田さんの座るソファの方へ移動し、彼の横にピタリと寄り添って座った。
そんなわかりやすい凛子に黒田さんも甘い笑みを返し、おまけに頬にキスをしたので、私は慌てて目をそらした。
普通、他人のいる前でそういうことする……!?
あからさまに照れている私を、目の前の男性はおかしそうにふっと笑う。
「まったく、あの二人はすっかり自分たちの世界に入っているみたいだ。俺たちも気にせず楽しくやろう。美織の思い出に残る、最高の夜になるように」
いきなり呼び捨てにするなんて、強引な人みたい……。
普段であれば警戒心を持ってしまっていただろうけど、今夜はそんなもの必要ないので、私は本能に従い胸をときめかせた。