【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
前の人がコース中ほどを過ぎた辺りで、私も水に入りゴーグルをつける。それから顔をつけ、腕を伸ばして壁をキックし、まっすぐに水中を進んでいった。
クロール、平泳ぎ、背泳ぎ。それぞれを一本ずつ泳ぎ終えたところで少し疲労を覚え、休憩することにした。
プールサイドのベンチに座り、持参したスポーツドリンクを飲みながらぼんやり辺りを観察する。そして、泳いでいる人たちの年齢層を見て思う。
昨日のトレーニングエリアもそうだったけど、この時間はわりと若い世代が多いみたい。
皆、会社が終わった後でこうして運動しに来るんだろうな。仕事で溜まったストレス発散に、運動はちょうどいいものね……。
かく言う私も今日は仕事で他人のミスを押し付けられ、そのせいで理不尽な残業をさせられた。まぁ別に予定もなかったし、大した修正作業じゃなかったからいいんだけど。
……って、せっかく気持ちよく泳いで余計なこと忘れていたのに、やなこと思い出しちゃった。
ふう、とため息をつき、そろそろプールに入ろうと立ち上がった時だった。
プールサイドに面した壁の一部がガラス窓になっているギャラリーの方から視線を感じ、何気なくそちらを振り向いた。すると――。