【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「あ、勝又さん……」
昨日ジム友になったばかりの彼がそこにいて、目が合うとこちらに手を振った。
しかし今の私は水着姿。スポーツ用の色気のないタイプとはいえなんだか恥ずかしいし、プールに入る前にメイクを全部落としているので、あまり顔は見られたくないなと思いつつも手を振り返す。
それにしてもどうしてギャラリーにいるんだろう。たまたま立ち寄ったら私を見つけただけかな。
そんなふうに思いながら、先ほどと同じコースで水泳を再開した。……のだけれど。
「ま、全く集中できない……」
さっきと同じ種目で五本ほど泳ぎ終えた私は、プールサイドで思わず呟いた。
ゴーグルを帽子の上にあげてちらっとギャラリーを見ると、勝又さんはまだ同じ場所にいて、私をじっと見つめている。
友達になったとはいえ、そこまで凝視されるとちょっと不審に思ってしまい、私はこれ以上泳ぐのは諦めて彼と話をすることにした。なにか用があるのかもしれないし。
私は慌てて着替えを済ませ、髪を乾かすのもそこそこにギャラリーへ向かった。
勝又さんは相変わらず同じ場所でプールを眺めていて、私はその背中に声をかける。