【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「勝又さん」
「沖田さん。よかった、待ってたんです。トレーニングエリアの方にいないからもしかしたらここかなって思って」
振り向いた勝又さんの表情が柔らかいことになんとなくホッとしながらも、〝待ってた〟のひと言にはなんとなく違和感を覚える。
私たち、確かにジム友にはなったけれど、それってジムで偶然一緒になったら言葉を交わす程度のお付き合いなんじゃないのかな。
同性ならそこからさらに仲良くなるケースもあるだろうけど、私たち異性だし……。
悶々と考え込んでいると、勝又さんは座っていた椅子から腰を上げながら言った。
「これから一緒にメシでもどうですか? 昨日のプロテインのお返しに」
「えっ? いえ……そもそもあれは私から勝又さんへのお礼なんですから、それに対してのお返しなんていらないですよ」
丁重に断りながらも、内心は結構焦っていた。
もしかして私、彼を変なふうに期待させてしまっていたのだろうか……。だとしたらちゃんと伝えなきゃ。私にはれっきとした婚約者がいるってこと。
そんな私の動揺を知ってか知らずか、勝又さんはさらに一歩踏み込んできた。