【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「……なんて。そんなの口実で本当はただ沖田さんを食事に誘いたいだけだったんですけど」
ああ……やっぱり……。
なんとなく予想していた展開に胸を痛めつつ、私は再度断るために口を開く。
「勝又さん……あの、私実は」
「彼氏がいる?」
「いえ、彼氏ではなく、婚約者がいます……。ごめんなさい、隠してるつもりはなかったんですけど」
正直に告げ、頭を下げる。せっかく友達ができたと思ったけれど、彼にそれ以上の気持ちがあるのなら、もう関わるわけにはいかない。ジム通いも、しばらくはお休みかな……。
「……そうでしたか。すみません、しつこくして」
気まずい沈黙の後、勝又さんはそう言って私に謝った。
「いえ、私の方こそ……昨日は勝又さんのご厚意に甘えてしまい、すみません」
もし彼に気を持たせてしまったのだとしたら、そのせいだよね……。
きちんと断れなかった自分を反省し、謝罪する。そして、こういう場は短く切り上げた方がお互いにいいだろうと思い、気を取り直して言った。
「では、私はこれで」
「あ、待って沖田さん」