【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「よう、美織」
「た……尊さん!?」
月曜に言葉を交わしてから三日ぶりに会う彼がそこにいて、呑気に手を挙げて私を呼んだ。
さっきまでキラキラしていた先輩の目が一瞬で殺気立ったものに変わり、恐怖を覚えつつも窓口を交代してもらう。
そうして尊さんと向き合うと、彼は楽しそうに私の姿を上から下まで眺め、満足げに口角を上げた。
「いいな、銀行の制服姿。清楚な美織によく似合う」
「ふ、ふざけないでください! どうしたんですか? こんなにお帰りが早いとは思いませんでしたし……」
「ああ、そうなんだが……向こうで急に悪天候になったから、飛行機が飛ぶうちに帰ってしまおうとスケジュールを前倒しにした。……で、時間があるからお前の顔見に来た」
尊さんはさりげなく手を伸ばし、私の頬に触れようとする。
ちょ、ちょっと、こんな公衆の面前で……!
私はとっさに身を引いて、小さく「ダメです」と口にしながら首を横に振る。
しかし尊さんは意に介した様子はなく余裕の笑みで手を引っ込めて、窓口の奥にある事務スペースに視線を投げた。