【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
小走りでマンションの部屋に帰宅すると、尊さんは黒い細身のスウェットに身を包み、リビングのソファでテレビを見ながらくつろいでいた。
しかしその横顔はやっぱり不機嫌で、私が帰ってきたのに気づいているはずなのに「おかえり」も言ってくれない。
やっぱり、なにか怒っているみたい……。でも、原因はなんだというのだろう。
「……尊さん。ただいま帰りました」
おそるおそる声をかけながら、バッグをダイニングの椅子に置いて、彼の元へ歩み寄る。
そしてソファの近くで立ったまま彼にかける言葉を探していると、ちらりと尊さんがこちらを向き、それからソファの空いているスペースをぽんぽんと手で叩いた。
す、座れってこと……かな。
なんとなく彼の近くには座りづらく、広いソファなのでひとりぶんのスペースを空けてちょこんと腰かける。しかしその行動が尊さんのお気に召さなかったらしく、あからさまに盛大な溜息をつかれてしまう。
それから仕方なさそうに立ち上がった彼は、私のすぐ隣に勢いよく腰を下ろし、膝の上にあった私の手を片手でぎゅっと握った。
同時に顔を覗き込まれ、鋭い眼差しが私の瞳を射抜いたかと思うと、彼がようやく口を開く。