【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「今さら引っ込めるのはなしですよ、開けていいですよね?」
「ああ。ドールハウスほどの感激はないと思うが」
珍しく弱気なことを言う尊さんに見守られながら、私は紙袋の中からお土産を取り出す。
こちらはドールハウスの箱よりずいぶん小さく、片手におさまるほどのサイズ。色は高級感のあるネイビーで、光沢のある白のリボンがあしらわれている。お土産というよりはまるでプレゼントのような……。
先ほどの子どものような興奮ぶりとはまた違う、ときめきに似た胸の高鳴りを感じつつ、パコ、と箱のふたを開く。すると中から現れたのは、小ぶりでシンプルながらも優美で可愛らしい、ピンクダイヤのピアスだった。
「素敵……」
ただそれだけ呟き、ピンクダイヤのきらめきに目を奪われる。こんなにきれいなピアスを私に似合うと思ってくれたなんて……。予想外のサプライズプレゼントに、胸がきゅんとした。
けれど、せっかく素敵なピアスを贈ってくれた彼に、少し言いづらい事実がひとつ。
「あの、尊さん……このピアス、すごく気に入ったし嬉しいんですけど。実は私、ピアスホールが開いていないんです」