【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
面白いって……若干失礼な言い方な気もするけど、きっと褒められているのよね。興味を持ってもらえているのはいいことだし、素直に喜んでおこう。
「……ありがとう、ございます」
「じゃ、いい加減俺は風呂に入ってくるよ。美織は髪乾かしたら寝室で待ってろ」
「はい、わかりました。……って、ここで脱ぎださないでください!」
スラックスをするりと下ろしてとうとうボクサーパンツ一枚になってしまった彼を見ていられず、両手で目を覆って叫ぶ。
「私がこうしている間に脱いで、早くお風呂に入ってください! そうしないと髪を乾かせません!」
「……わかったよ。まったく、あんなに乱れた夜とは別人みたいに初心になっちゃって……ま、それも可愛いギャップだけど」
尊さんはぶつぶつ言いながらも、ようやく浴室のドアの向こうに消え、シャワーを浴び始めた。
ああもう……尊さんの方こそ、あれほど乱れた最初の夜と同じ温度で迫ってくるのはやめてください。ドキドキ騒がしい鼓動をなだめながら、本人には言えなかった不平を胸の内で呟く。
けれどその反面、尊さん好みの妻であり続けられるようにと、彼が『好きだ』と言ってくれた長い髪の手入れには決して手を抜かないのだった。