【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
凛子らしいと言えばらしいけど、あまりに明け透けな調子で聞いてくるものだから、私はおそばを吹き出しそうになった。たまらずお茶に手を伸ばし、しっかり飲み込んでから声を潜めて答える。
「テクって……そもそも私尊さんしか知らないんだから、よくわからないよ」
「ふうん、そっか……実は黒田さんはイマイチでさ。もう次のターゲット見つけてたりするんだよね」
悪戯っぽく瞳を輝かせる凛子に、私は目を丸くする。
凛子ったら、黒田さんともう寝ていたの……? その上次のターゲットって……回転が速すぎてついていけないんだけど。
「ちなみに、次はどんな人なの?」
「よくぞ聞いてくれました。昨日の夜、サンクチュアリで初めて会ったの。お互いに一人で来てたから、バーで少し一緒に飲んだんだけど、クールで知的な感じがたまらない眼鏡イケメンでね? ぼーっと見惚れてたら名前も連絡先もすっかり聞くの忘れちゃった」
「眼鏡イケメン……」
そのワードから、つい頭の中に浮かんだのは、勝又さんの顔だった。
まさかね……。眼鏡をかけている人なんて大勢いるし、そんな偶然あるはずない。